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東北学生剣道優勝大会観戦記

令和3年9月6日 塩釜ガス体育館にて開催
大会結果は、1月号に掲載

第69 回東北学生剣道優勝大会観戦記

男子決勝戦、山形大学対東北学院大学は、先鋒戦、成澤(山形大学)対士田(東北学院大学)で幕を開けた。両者序盤から激しい打ち合いを繰り広げる。全力の技を繰り出していくが、互いの実力はかなり拮抗しており、互いに技はなかなか決まらない。そのまま試合は引き分けに終わった。

続く次鋒戦、佐藤(裕)(山形大学)対岡野(東北学院大学)の対決。佐藤から繰り出される強烈な技に、負けじと果敢に技を打つ岡野。一瞬の隙をつき、意地で岡野(山形大学)が面を決め切った。この一本により、山形大学の雰囲気が大きく盛り上がった。五将戦、高橋(山形大学)対福田(東北学院大学)は、身長の高い福田が序盤一本を取りに攻めていくのを高橋がさばいていくという試合展開から始まった。後半に差し掛かり、高橋が反撃に転じたその瞬間、佐藤の鋭い小手が試合場の空気を変え、前回王者の強さを見せつけた。

中堅戦、福田の作った東北学院大学の流れを止めたのは野口(山形大学)であった。木村(東北学院大学)の激しい攻めに真っ向からたちむかいたい、まさに一進一退の攻防で引き分けに終わった。

団体戦も終盤に近付き次の一本を取ったほうに試合が大きく傾くという大事な三将戦、さきに仕掛けたのは佐藤(直) (東北学院大学)だった。試合開始直後から柏倉(山形大学)を攻め立てた。鋭い面や連続技で柏倉を崩しにかかる。対する柏倉は落ち着いた様子でこれをさばいていく。会場の皆が柏倉の劣勢を疑っていない状況で佐藤が攻勢の手を緩めたかに見えたその一瞬に、柏倉の鋭い面が突き刺さった。

山形大学が一歩リードする展開で迎えた副将戦、何としても取り返したい佐藤(伶)(東北学院大学)は東海林(山形大学)に多彩な技で攻め立てる。返し技や出ばな小手などさまざまな技が高い精度で繰り出されたかと思うと鋭い面が飛んでくる。対する東海林も高い身長を生かした激しい面や二段技を繰り出していく。互いに一本になりそうな打突が幾本も見受けられたが一本にはつながらず引き分けに終わった。何としても一本を取り返し連覇を果たしたい東北学院大学は大将、井田にすべてを託す形になった。

緊張に包まれた中迎えた大将戦。先に一本を取ったのは井田の激しい攻めの隙を打突した後藤(山形大学)だった。この一本は試合を決めるのにあまりに大きい一本だった。会場全体が山形大学の勝ちを確信した中、井田だけが勝ちをあきらめてはいなかった。一本取られ、もう後がない中、一切攻勢を緩めなかった。さまざまな技を繰り出し意地で面を決め切る。最後の一秒まで攻勢の手を緩めなかった。これは大将戦にふさわしい闘志のぶつかり合いを感じるものであった。次々と技が繰り出され、激しい打ち合いのすえ引き分けで幕を閉じた。 今年度の大会を制し優勝杯を手にしたのは、山形大学であった。

第四十七回東北女子学生剣道優勝大会女子観戦記

女子決勝、福島大学対山形大学の試合。赤、福島大学は三連覇中であり、対する白、山形大学は本大会初優勝を賭けた注目の一戦である。

緊張感に包まれ開幕した先鋒戦、山内奈菜(福島大学)対中野真優(山形大学)の試合は、試合序盤に中野が果敢に攻めるも鍔迫り合い解消後わずかに先を取った山内が面をとらえた。中野はその後も攻める姿勢を貰き、捨て身の面で一本を取り返す。迎えた勝負の局面、両者足を止めることなく攻め続ける。両者後打ちや飛び込み面など好機をとらえた技を繰り広げるもそのまま試合は終了。双方のチームにとって勢いのつく試合となり、引き分けで次鋒戦へと繋げた。

続く次鋒、折笠桃子(福島大学)対大竹瑠乙(山形大学)の試合。上段の折笠に対し大竹は流動的な足遣いで捌き、後打ちを狙う。その後折笠の竹刀が大竹の袖に引っ掛かり試合は一時中断。両者開始線に戻り試合再開後間もなく大竹が豪快な面を決め一本を先取した。折笠は一本取り返そうと攻めの姿勢をみせるも時間がきてしまい山形大学がリードした形で次鋒戦は終了した。

横町柚里佳(福島大学)対田中千尋(山形大学)の中堅戦。次鋒の一本を繋げようとする田中に対し、横町は冷静に面を誘い出して冴えのある出小手を放った。その後田中は積極的に間合いを詰め、技を出すが横町は隙を見せずそのまま時間を迎えた。

副将戦。後藤香音(福島大学)対菊地希星(山形大学)の試合。初太刀、後藤が小手にとんだところを菊地が後打ちで応じるが、一本には至らず両者慎重に隙を窺う。時間が迫るにつれ積極的に仕掛け、技を見せるも互いに動じることなく緊張感のある攻め合いが続く。試合終盤、ごく一瞬菊地が引いたところを逃さず後藤が面を放つが惜しくも届かなかった。その後も互いに攻めの姿勢を崩すことなく、大将戦へ繋げる白熱した試合をみせた。

大将戦。猪俣真理子(福島大学)対成田千佳(山形大学)の試合。上段の成田に対し序盤から巧みな足捌きで攻める猪俣。一瞬の隙を逃さず猪俣が冴えある突きを放った。これに動じず成田は冷静に自らのペースを取り戻していき慎重に一本を狙う。対する猪俣は成田に余裕を与えまいと果敢に攻め続けた。試合中盤、成田が遠間から捨て身の技を放ち猪俣の面をとらえたかと思いきや惜しくも一本には至らない。慎重に隙を窺っていた序盤から一転し互いに積極的に技を出す。両者一歩も謡らないまま勝負は代表戦へともつれることとなった。

勝負の代表戦。大将戦に続き猪俣対成田の試合。序盤から両者大きく勝負に出る。猪俣の小手に対し成田が後打ちの面で応じるも猪俣はすかさず崩す。しばらく膠着状態が続いた。審判がわかれをかけ試合を再開した後、成田が面を仕掛ける。猪俣も足を使い、面を誘い出して小手を狙う。両者技を出し続けるも一本には至らない。攻め合いのさなか、成田が面を放ち体勢を崩した。猪俣はそこを逃さず成田に整える隙を与えない。なんとか持ち直した成田が一息ついたその時、一瞬胴を見せ成田が居ついたところをすかさず面でとらえた猪俣に軍配が上がった。

しのぎを削る戦いを制したのは福島大学であった。

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