第58回全国選抜少年剣道合宿錬成会報告(全日本剣道道場連盟)
a.実施期間 平成31年4月1日(月)~4日(木)
b.実施場所 全日本少年剣道錬成会館
c.実施内容
平成31年度最初の事業、第58回全国選抜少年剣道合宿錬成会を本部道場である全日本少年剣道錬成会館で開催した。全国より選抜された少年剣士49名が無事道場に集合。午後2時、部屋割りとオリエンテーションを終え予定通り、午後2時30分開講式を行った。まず、全道連豊村東盛専務理事より「新しい経験、体験が人を育て成長させる。皆さんにとってこの合宿錬成会が良き経験、体験になる事を期待します。頑張って下さい。」と挨拶。続いて各講師を紹介し、講師を代表して緒方講師が「有意義な4日間を送っていただき自分自身のいろいろな面を高めるため色々なことに気づき実行して下さい。」と挨拶を述べ開講式を終了した。長旅の疲れもあると思うが、早速、竹内講師の指揮による基本を中心とした錬成に入った。はじめに着付け、所作事について注意説明が行われた後、素振りを行った。素振りについては構え、握り、刃筋を意識させるために木刀を使って行われ、振り上げ振りおろし、発声法など様々な注意点をあげながら、気剣体一致、単純なことを正しく行うことを講習生に意識させながら指導された。素振りの後は、二人一組2班に分かれての切り返し、面打ち等基本打突に重点を置きながらの徹底した反復練習で技術の習得に努めた。基本打突後は、2分区切りで30分ほどの講習生同士の廻り稽古を行った後、講師元立ちでの指導稽古を40分ほど行い初日の講習を終了した。途中気の緩みのでてきた講習生に対し竹内講師より「各県の代表で来ているのだと自覚をもって取り組まなければならない。」「1本1本心を込めて真剣に振込まなければやっている意味がない」「やろうという気迫を込めて稽古に取り組まなければこの合宿錬成会に参加している意味がない。」と注意があったが各地区より選抜された講習生だけあり、その後は見違えるほど集中した姿勢で講習に励み十分鍛えられた様子が伺えた。
その後、入浴、夕食の配膳片付けなどを部屋ごとの当番制で行い、食事後は各自、日記を付けたりして自由時間を過ごし、午後8時全員で館内の清掃を行ったが、便所・風呂場の清掃には毎回のように戸惑った姿が見受けられる。つかの間の休憩の後、午後9時10分、道場に全員集合し、これまでの諸注意と明日からの予定などを話し、就寝についた。長旅の疲れと、講習会初日の気疲れのためか就寝時間前には各部屋ともに静かになっていた。
2日目、6時30分起床・点呼。体操で体をほぐし朝食を取った。
午前の部は、9時より緒方講師による剣道講話から行われた。講話は、1.四つの美①身体の美(姿勢)②心の美(礼儀)③稽古の美(相手を敬い思いやる心)、④有終の美(剣道を継続する強い意志)を剣道はもとより日常生活の中で常に意識し続けること。2.良好な人間関係を築くために挨拶が大事である。3.剣道は修業ではなく修行であるので終わりがない。よって何歳になっても剣道を続けて行くことが大切である。との内容で行われ、日常生活の中にこそ剣道修練で培ったものを生かしていかなければならないと講習生各自が考え直す良い機会になったと感じる。
10分休憩の後、豊村講師の担当で「木刀による剣道基本技稽古法」を指導。
講習は剣道基本技稽古法が制定された目的と稽古法を行う上での注意点などを説明。特に打突時の発声をはっきり行うようにと注意が行われさっそく実技に入った。二人一組の2列にわかれて基本1より基本9迄1本ずつ丁寧に所作や約束事の注意などを交えながらの指導が行われた。ほとんど全員が経験者で基本9までの実技も滞ることなく短時間でマスターしたため、竹刀剣道でも応用できるよう基本技稽古法を発展させた様々なバリエーションで稽古法の講習が行われた。短時間であったが全員が基本9迄の全てを滞る事無くマスターし、午前の講習を終了した。
昼食、休憩の後、午後の講習が行われた。
午後の部は、まず竹内講師が昨日の復習(木刀を使っての素振り、二人一組2班に分かれて切り返し面打ちなど)を行った後、出ばな技他の指導と打ち込み稽古を行い10分ほど休憩の後、講習生同士の回り稽古を15分、講師元立ちで指導稽古を30分ほど行い2日目の講習を終了した。
3日目も6時30分起床・点呼。体操で体をほぐし朝食を取った。
午前の部は髙野講師が担当で指導。昨日までの復習として素振り、二人一組2班に分かれ切り返し、基本技を行った後、応じ技を中心とした指導が行われた。講習は所々で説明、注意を与えながら反復練習をし、正しい技の習得に努めて行なわれ上達も顕著に現れた。
午後の部はまず、本年2月24日(日)に行われた第41回日本剣道少年団研修会体験・実践発表会小学生の部において最優秀賞を受賞した講習生の橋場円(岩手県)さんによる体験・実践発表を行った。立派な発表姿勢・態度・表現力で発表終了後、講師をはじめ他の講習生より大きな拍手が沸き起こった。
発表終了後、対抗戦を行ったが、流石に全国より選抜されただけに気力、技、スピードに優れた少年剣士が多く見応えのある試合内容で、勝敗は大将戦までもつれ最後は大将の内藤君(京都府)の2本勝ちによる本数勝ちで紅組の勝利で幕を閉じた。試合の後、各講師よりより試合を見て気が付いた点、改善点などの講評が行われた。休憩の後、これまでの総復習とお互いの稽古。最後は講師元立ちの指導稽古で3日目を終了した。
最終日は6時に点呼の後、6時30分より早朝稽古を行なった。まず、栗田講師の指揮のもと素振りをまず行い、面付け後は切り返し、面打ちをおこない講習生同士の回り稽古と講師元立ちの指導稽古を行い最後の講習を終えた。道場のあちらこちらで、活気あふれる稽古が行われ、力を振り絞り気力ある稽古で心地よい汗を流した。
稽古終了後、引き続き閉講式を行い、全道連豊村専務理事より閉会の辞。講習生の代表として京都府の内藤慧君に全員の修了証を手渡した。最後に緒方講師より合宿に対するねぎらいが述べられた後、「地元に戻っても剣道はもとより本分である勉強に対しても各自目標に向かって日々努力をしてもらいたい。素直な心で何事にも取り組んでもらいたい。」と講評頂き全国選抜少年合宿錬成会の全てを終了した。
その後、朝食を済ませ全員で館内の清掃および帰宅の準備をし、準備の出来た者より、帰路についた。最初は無言だった者同士が合宿中に仲が良くなり、別れ惜しかったのか、父兄の迎えが着た後もしばらく談笑している姿が多々見られたが、それぞれ夏の日本武道館、12月に新潟で開催される少年剣道選手権大会での再会を誓い解散して行った。
今回の合宿錬成で少年剣士達は、3泊4日と短い日程ながら、講師と寝食を共にし、正しい剣道を学び、遠く離れた各地の剣友達と規律を守り、協力調和の心を持っての団体生活を体験し、友情も深めた。此のことは少年達にとって貴重な経験であり、今後の剣道と人生に有意義な影響を与えたものと思える。
又、今回の講習生の中から将来の剣道を担う剣士が育ってくれる事を期待する。
受講生数 49名
講師 緒方 勝昭 教士八段
竹内 司 教士八段
髙野 力 教士八段
本部講師 豊村 東盛 範士八段
栗田 和市郎 教士八段
参加剣士たちの作文