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短時間で凝縮した稽古1←茨城町青葉中学校

剣道日本2月号の特集「強豪の工夫研究」で紹介しました青葉中学校(茨城県茨城町)。

全国大会で活躍する同校ではどんな稽古が行なわれているのか、その一部を剣道日本YouTubeチャンネルでもアップしましたが、ここでは各稽古のポイントについて、改めて解説をしていただきました。

足さばきの稽古

普段の平日の稽古は1時間程度ですので、面をつけるまでの練習は30分程度で、ここで紹介した練習内容を一部を凝縮してやるイメージですので、部員も汗だくになります。

足さばきは、基本的に「小さく使う」練習をしています。そして、相手を追い詰めていくイメージで前へ進みます。練習中、「いつでも打てる足をつくるように」と生徒に言いました。攻めているとき、相手の攻めに対して我慢しているとき、打つとき、いずれのときでも足は全部同じ状態であることが理想です。それそれが違う状態だと、相手にも「今は何もしてこない」と分かってしまいますし、自分自身もとっさの反応ができません。大きく足を動かすとそれが崩れがちなので、小さく使うように指導しています。

学校の道場は試合場が1試合場を取れる広さなので、これも活用しています。最後に太鼓を叩いたところで、跳び込み技を打たせていますが、試合場のラインから絶対に出ないことを約束事にしています。それから、最後に打たせる“場所”もあえてバラバラにしています。最後の技は相手を追い込んだうえで相手を仕留めることをイメージしていますが、打った後に場外へ出ないためにはどういう技を出したらいいのかも考える。たとえば試合場のギリギリのところまで進んだところでは、跳び込み面を打って前へ進んでしまうと場外へ出てしまいます。

次にやったことは、斜め前への足さばきです。右方向は通常の送り足ですが、左斜め前へ移動するときは右足から動くと足が交差してしまいますので、左足を先に動かします。その次は前後左右への足さばき。上半身はつねに地面と垂直の状態を保ちながら足を細かく早く動かします。

その次に取り入れていたのはジャンプです。初心者の部員の特徴のひとつに、棒立ちの状態で移動することがあります。これを何とか脱却したいと考え、これを取り入れました。膝を使わなければ真上にジャンプできません。膝を使ってジャンプをし、着地したら細かい送り足で攻める。次は、先に送り足で攻めてからのジャンプ。着地したときも、送り足で攻めたときも、“打てる足”をつねに意識することが大切です。

最後に“振り返り”の動作を入れた練習をしました。通常は右足を軸にして向きを変えていると思いますが、ここでは左足を軸にします。たとえば、相手に跳び込み胴を打たれた後、後方に移動した相手を追う場面では右足よりも左足を軸にして旋回するほうがより早く相手との距離を詰められます。これをどんなときでもできるようにしておきたい。右を軸に向きを変えると、構えたときに左足に重心が乗って後傾の姿勢にもなりがちです。

小手四本、技の稽古

面を着けない理由は、熱中症対策です。短時間でも相当の運動量になりますが、面をつけると水分補給ができません。素振りのときにも間近に水筒を置いていますが、これも練習の合間に水分補給をするという目的です。

面をつけずに行なうことで、普段とは少し違う環境のなかでの練習を感じます。それによって、自分でいろいろなことを考えられるのではないか、とも考えています。ただ、危険も伴うので、お互いに緊張感を持って集中してやるようにと言ってあります。

稽古は得てして、面打ちの回数が多くなりがちです。中学校の部員は、学校で稽古をしたあと、いばらき少年剣友会に移動して稽古をしていますが、道場では面が中心です。なので、あえて面以外の技を学校では多く稽古していますが、それでも試合では面を一本にすることが多いですね。

普段の平日の稽古は1時間程度ですので、面をつけるまでの練習は30分程度で、ここで紹介した練習内容を一部を凝縮して一気にやるイメージですので、部員も汗だくになります。

前任校で指導していたころから足さばきの練習は続けていますが、面をつけない練習にこれだけの時間を取っているのは、青葉中学校に赴任してからかもしれません。

(談 雨谷大輔監督)取材・月刊剣道日本編集部

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