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第38回全日本女子学生剣道優勝大会|誌面で紹介できなかった序盤~中盤の戦い

第38回全日本女子学生剣道優勝大会|誌面で紹介できなかった序盤~中盤の戦い

令和元年11月10日に行なわれた第38回全日本女子学生剣道優勝大会は、立教大の初優勝という誰もが驚く結果となった。上位の戦いは剣道日本1月号で紹介しているが、ここでは序盤から中盤の戦いを中心に、誌面で紹介しきれなかった対戦などをレポートする。今大会初出場を果たした文武両道の2チームも紹介。

準々決勝 鹿屋体大 2─1 筑波大

準々決勝では最も注目されたカード。桑水流(鹿屋体大)×渡邊(筑波大)の先鋒戦は引き分け、次鋒戦は筑波大の濱田がメンを先取するが、鹿屋体大の前田がひきメンを返して引き分け。中堅戦、筑波大の牛木がまっすぐメンに跳び込み、均衡を破った。だが、鹿屋体大はすぐにスーパー1年生の妹尾がメンを奪う。さらにもう一本を狙う勢いを見せた妹尾だが、そのまま一本勝ちとなる。同点で迎えた大将戦は、3年生の村田が4年生の日本代表竹中からコテを奪い、鹿屋体大が制した(大将戦の写真は雑誌に掲載)

副将戦、妹尾(鹿屋体大)がメンを決めた

準々決勝 明治大 2─1 順天堂大

ベスト8入りを果たした順天堂大が、明治大をあと一歩まで追いつめた。明治大の先鋒山﨑が二本勝ちを収めるが、順天堂大は次鋒鈴木が一本勝ち。明治大は中堅小松、副将丸岡がポイントを奪えずそのまま大将戦となる。すると順天堂大の菅原がコテを先取した。時間も残り少なく、このまま終われば明治大の敗退となる。しかし藤﨑が何とかコテを奪い返し、そのまま引き分けでも明治大の勝利という状況になったが、藤﨑は勝負となるやすぐにメンを決めた。(先鋒戦の写真は誌面で紹介)

大将戦、藤﨑が決めたコテ。微妙な判定ではあった

準々決勝 立教大 2本─2 日体大

日体大の先鋒小川がひきメンを決め一本勝ち。次鋒戦は引き分け。ここまでは関東大会優勝の日体大のペースかと思われたが、立教大の中堅小野澤が出ゴテを決めたあと、さらにメンを決めて二本勝ちを収め、さらに副将鈴木が立ち上がりにいきなりコテを決め、一気に形勢が逆転した。大将戦で日体大の桑野は二本が必要となり、なんとかツキを決めるもあと一本が届かなかった。

中堅戦、立教大の小野澤(こちら向き)がまずコテを決める

3回戦 明治大 3─0 日本大

明治大は先鋒山﨑がメンを決めて一本勝ち。次鋒福田もコテの一本勝ちで続く。中堅菊川、副将小松は引き分けで、無難に勝利を収めた。大将藤﨑も一本勝ち。

先鋒戦、明治大の山﨑がメンを決める

3回戦 鹿屋体大 4─1 駒澤大

鹿屋体大は先鋒桑水流がメンを決め一本勝ち。この試合が初登場となった木澤(4年)も出ばなメンを決めて一本勝ちで続く。さらに中堅松本はコテを二本奪い、前3人で勝負あり。鹿屋体大は副将妹尾も勝ったが、村田は敗れている。

次鋒戦、鹿屋体大の木澤がメンを決める

3回戦 関西学院大 2─1 東北学院大

東北学院大が先鋒大浦の一本勝ちでリードする。次鋒戦引き分けのあと、関西学院大は松本が終了近くにメンを奪って追いついた。副将戦は引き分け、大将戦では浅見がひきメンを決め、関西学院大が逆転で僅差の試合をものにした。

大将戦、浅見(関西学院大)がひきメンを決めた

3回戦 日体大 3─1 福岡大

日体大の先鋒上野が早々にメンに跳び込んで決めるが、対する山口もほどなくコテを返す。しかし上野は出ゴテを奪って勝利を収めた。日体大は次鋒小川がメンの一本勝ちで続き、リードを広げる。中堅戦は反則による一本で福岡大の谷山が制したが、日体大の副将相馬がメンとコテの二本勝ちで勝負を決めた。

先鋒戦、一本一本から上野(日体大)がコテを決めた

3回戦 筑波大 3─0 立命館大

筑波大は先鋒の渡邊が引き分けたが、この試合は初登場となった牛木が相面を制して一本勝ち。中堅藤本も引き分けとなるが、副将久徳がメンの一本勝ちで勝利を決めた。大将竹中もメンを決めて勝った。

次鋒戦、筑波大の牛木(写真右)がメンを決めた

3回戦 順天堂大 3─2 福岡教育大

お互いに攻め合い好勝負となった。福岡教育大は先鋒梅野が二本勝ちを収め、幸先のよいスタートを切る。しかし順天堂大は次鋒吉武が一本勝ち、中堅長友が二本勝ちで逆転する。ところが副将戦は福岡教育大の秋山が二本勝ち。2勝2敗、福岡教育大の一本リードで大将戦となる。順天堂大の大将菅原は、上段から諸手でコテを決めると、さらに相手の出ばなにコテを決め、順天堂大が再逆転でベスト8入りを果たした。

大将戦、菅原(順天堂大)が決めた一本目のコテ

2回戦 明治大 3─0 天理大

1回戦の大きな山を乗り越えた明治大は、先鋒山﨑、次鋒福田がのびのびと戦いともに二本勝ち。中堅丸岡はメンを先取するも返されて引き分けとなるが、副将小松はコテ二本を奪い、天理大に快勝した。

副将戦、小松(明治大)がひきゴテを先取する。このあとさらにコテを決めた

2回戦 鹿屋体大 3─0 尚美学園大

鹿屋体大の緒戦。先鋒桑水流(2年)がコテ二本を決めて勝利。この試合のみ出場した4年生の渡邊は引き分けるが、中堅松本(3年)、副将妹尾(1年)がともに一本勝ちで問題なく勝ち進む。1回戦で龍谷大に5─0と大勝した尚美学園大だったが及ばなかった。

先鋒戦、桑水流が決めた二本目のコテ

2回戦 日体大 3─0 平成国際大

日体大の緒戦。先鋒小川がメンを決めて一本勝ちすると、次鋒阿部はメンを二本奪って快勝。中堅中村もコテを決めたあとすぐにメンを奪って、危なげなく勝利を収めた。しかし副将相馬と大将桑野は引き分けに終わる。

中堅戦、中村(日体大)がコテのあとメンを決める

2回戦 東北学院大 0代─0 志學館大

東北学院大は名城大との緒戦、2勝2敗で代表戦となり、前田の勝利で2回戦に駒を進める。この試合は5試合で両者に決まり技が生まれず、2試合連続で代表戦となる。前田はここでもメンに跳び込んで一本を奪い勝利をもたらした。続く3回戦では僅差で関西学院大に敗れる。

代表戦、前田(東北学院大)が井上からメンを奪う

文武両道で全国大会初出場

東京大学

 言わずとしれた日本最古の大学であり最難関である東京大学。剣道部は1887年(明治20年)に創部された。まだ大日本武徳会もなかった時代からの長い歴史を持つ東大剣道部に、新しい歴史の1ページが刻まれた。女子が初めて全日本大会団体戦に出場を果たしたのである。
 関東大会では1回戦で群馬大、2回戦で共立女子大を破り、3回戦では拓殖大を1─0で破ってベスト16入りを果たし全日本大会初出場を決めた。4回戦で東洋大に0─5で敗退したが、堂々と本大会に臨んだ。
 畑田寛久監督は「関東大会の決定戦で集中してできたのが良かった」と話す。拓殖大との試合では中堅の武蔵摩紀選手(4年)が奪った一本を守りきって勝った。
 本大会では1回戦で九州の志學館大学と対戦。健闘むなしく0(0)─5(9)で完敗という結果だった。主将で大将を務めた久保田希はこう振り返る。
「自分たちが全国に来られたのは嬉しかったですし、勉強だけでなく運動でもやれるという自信になりました。でもこういう結果になってしまって、かなり全国とのレベル差は大きいなと思ったので、後輩に埋めていってほしいなと思います」
 稽古は毎日あるが、それぞれの授業の都合で週4日程度という部員が多いそうだ。男子は全日本学生優勝大会に何度も駒を進めているが、今年も出場し、福島大、北海道大を破って3回戦まで勝ち進んだ(日大に敗退)。今年の好成績の理由はどんなところにあったのだろうか。
「私たちが3年生のときは4年生の先輩に頼ってしまうところがあったのですが、今年は男女とも4年生が圧倒的に強いというわけではなく、3年生が強かったりしたので、下の学年も上に頼ることがなく、奮起してやってくれました。全員で勝つということが男女ともできていたのかなと思います」(久保田)
 久保田、武蔵両選手を含め、7人の選手のうち4人が豊島岡女子高校出身。都内有数の進学校として知られる同校は、インターハイの女子団体が始まった昭和40年代に2度インターハイに出場しており、現在も剣道部の活動は盛んで1学年に10人弱の部員がいるそうだ。

明治国際医療大学

 明治国際医療大学剣道部は創部4年目。全学年が初めて揃った今年、見事に本大会初出場を果たした。学校は京都府南丹市にあり、関西大会でベスト8に入った。
 大学は1925年(大正14年)に山崎鍼灸学院として創立、2年後に明治鍼灸学院と改称し、1978年(昭和53年)に短期大学、1983年(昭和58年)に大学が開学した。4年前から大学としてスポーツに力を入れることになり、剣道部も創設された。同時にスタートした柔道部は、今年の全日本学生柔道優勝大会(3人制)で優勝という結果を残しており、剣道部もそれに負けじと全国の舞台を踏んだ。
「将来は医療従事者として活躍したいという志を持って、けれどもまだ少し剣道を全国大会レベルでやりたいという……欲張りと言えば欲張りですけど、学生たちの志は高いと思います。医療系の大学に行くと勉強が大変で、剣道をあきらめてしまう学生が多いようです。たぶん今大会に他の医療系大学は出ていないと思います。そういう新しい道を切り開こうということで頑張っています」
 と植田広樹部長は話す。とくに主力となる3年生は実習の多い時期であり、今大会前の1週間で毎日稽古ができたのは選手のうち2人だけだったという。
 まだ若い水谷和江監督(写真左端)は龍谷大学を卒業後、事務員として明治国際医療大学に就職。4年前に剣道部が立ち上がるときに、経験を買われて「ちょっと見てくれるか」と言われて監督になった。剣道の指導者になることなどまったく考えていなかったというが……。
「選手を集めるところから、ゼロからはじめました。すごく田舎にある大学なのですが、とても気持ちが純粋な人のいい子たちばかりで、私たちの言うことをすごく謙虚に受け止めてくれるんです。だからこそ4年間でここに来ることができたのかなと思います。伝統も何もないですし、つねに挑戦者という気持ちでやらせていただいています。一昨年あたりは関西でも1回戦敗退だったのですが、自分たちが一本を取りに行くという気持ちに変えてから、まとまって剣道ができるようになってきたなと思います」
 高知大学との本大会緒戦、先鋒の市瀬未季が二本勝ちで好スタートを切ると次鋒宮城怜奈も二本勝ちで続き、いきなり王手をかける、中堅戦、副将戦が一本ずつ奪われて敗れるも、大将中薗美希が引き分けて初勝利をあげた。順天堂大との2回戦も市瀬が二本勝ちを収めるが、今度宮城が一本を失って敗れる。何とか一本リードで大将戦を迎えたが、大将が敗れて惜しくも逆転負けを喫した。
 選手7人は全員が九州の高校出身。樟南、錦江湾、日章学園、小禄などインターハイの常連である高校が多い。6人が看護学科、1人が鍼灸学科である。現在のところは女子部だけだというが、将来を考えて医療関係を目指しながらも剣道も一生懸命やりたいという学生にとっては、進路として有力な選択肢となる大学が誕生したといえるのではないだろうか。

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