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剣道の教えは理に適っているのか!?【はじめに②6つの基本メカニズム】

坂井伸之山口大学教授 剣道の動作や教えについて話す前に、6つの基本メカニズムについて述べておく必要があります。それが下の表です。この6つの基本メカニズムの組み合わせによって、スポーツのほとんどの動作の理屈が説明できます。

「基本②」エレベーターや遊園地の乗り物でストンと落ちたり止まるとき、体重が重くなったり軽くなったりします。これは、重力と慣性力は同じ性質で区別できないという「等価原理」によるものであり、慣性力によって実質的に重力を作ったり消したりすることができます。この等価原理を基礎にしてアインシュタインがは一般相対性理論を構築しましたが、一般相対性理論と直接関係ないスポーツ動作においても等価原理が重要であることは、非常に興味深いと思います。

「基本③」物理の教科書では「慣性力は見かけの力」と書いてありますが、それは違うと私は思っています。たとえば、遠心力は慣性力の一つですが、腕を振り回したときに生まれる遠心力は確かに感じますし、体幹の運動に影響を与えます。これまで見落とされがちでしたが、運動感覚と結びつけて運動のしくみを理解するために、慣性力の理解は不可欠です。

「基本④」「作用・反作用の法則」は概念として多くの人が知っていますが、人体内部で作用・反作用の関係にある力は無数にあり、そのほとんどが充分理解されていないと言えるでしょう。

「基本⑤」宇宙には、数秒から数㎜秒の周期で自転する超高速スピン天体「パルサー」があります。地球の自転周期が1日、太陽の自転周期が約1カ月であるのに対し、太陽より重いパルサーの回転がなぜそんなに速いのか。その物理的理由は単純で、物体が自身の力で収縮すると、角運動量が保存するために回転速度が増加するのです。フィギュアスケートでのスピンを思い出してください。スピンをしながら、広げていた腕を縮めると回転が早くなります。それと同じです。これが剣道にも働いています。

「基本⑥」どんなスポーツでも「体の柔軟性が重要」と言われます。その理由は、可動域が大きくなることに加えて、復元力が生まれるからです。復元力は、慣性力や角運動量保存則と組み合わされて、高速運動を生み出します。

全文記事は、剣道日本8月号に掲載
購入は、https://kendonippon.official.ec/items/21465660

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