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私立東海中学・高校(愛知)剣道部 北村滋敏前教諭(七段)&尾上昇前OB会会長(OMC株式会社代表取締役会長)インタビュー(前編)

私立東海中学・高校(愛知)剣道部 北村滋敏前教諭(七段)&尾上昇前OB会会長(OMC株式会社代表取締役会長)インタビュー(前編)

剣道日本5月号掲載「進学校と剣道部」から

ともに東海高校剣道部OBで、40年以上にわたり、教諭として剣道部顧問を務めた北村滋敏七段、同期間をOB会長として東海高校剣道部を支えてきた尾上昇(OMC代表取締役会長)氏に東海高校剣道部についてインタビューしました(一部は誌面に掲載しています)。

東海剣道部の常識は世間の非常識

 2019年は北村先生の最後の教え子から、勉学では最難関の東大理Ⅲと京大医学部に合格、剣道では新人戦で団体県ベスト8、個人ベスト16となりました。
「東海高校はもともと僧侶を養成する学校ですから進路指導を先生からは積極的にはしない高校です。ただし生徒が求めてきたら、とことん答えが出るまで向き合うという伝統があります。つまり『自主性』を育む。これは剣道部にも一貫していて『剣道を通していかに社会に有意な人材を育てるか』を剣道部の目的としてやってきました。その伝統の中で生徒が勉強も剣道も120%頑張った結果だと思います」(北村)
「この雰囲気は剣道部の実質的な戦後の初代師範である加藤万寿一範士の影響が大きいですね。わたし自身は加藤先生の指導の下で第1回のインターハイに出場しましたが、当時から『剣道をそんなにするな、勉強しろ』と言われて驚いたことがあります。生徒が『先生、もっと剣道させてください』という雰囲気でした」(尾上)

 もう半世紀以上前から今の伝統はあるのですね。
「『東海の常識、世間の非常識』と進学したOBがよくいいますね。加藤万寿一先生はシベリアに11年も抑留された苦労人ですが、驚くほどリベラルな方でした。東海中学・高校剣道部では生徒が先生の防具や胴着を片づけることはさせません、自分のことは自分でやる。また稽古の時にはいつでも自由に水分補給をできるようにしています。また剣道部の練習に来なくても叱られることはありません。これは50年以上前に加藤先生が実践されていたことです。言われ続けたのは『人に媚びるな』『負け犬になるな』『勉強しろ』の3つ。この伝統を、わたしも在職43年続けてきました。今の西本先生、西川先生もそれを引き継いでくれています」(北村)
「その上で、学生が自分で目標を決めて逆算して突き進んでゆく。目標が決まったら先生は全力で生徒をサポートしてゆく。OB会と父母会はそれを全力で支援してゆく、すべて『学生ファースト』が特徴です」(尾上)

試合に勝つことは目的ではないという東海剣道部の哲学

「自主性」「目標からの逆算」「学生ファースト」が東海剣道部の伝統ですね。
「ただ、そうするとわかりやすく『インターハイ出場や試合に勝つこと』を目標としがちです。わたしも赴任当時の20代は学生と6年以内に学生をインターハイに連れてゆくということに燃えていました。そこで、東海では常時お父さん役の50~60代とお兄さん役の20~30代、という2人以上の先生が剣道部をみてきました。お父さん役の先生が『試合に勝つことが目的ではない』という哲学を一貫して持つわけです。そうしてバランスをとる」(北村)
「OB会としても『インターハイにまた出場してほしい』という願いは当然あります。卒業生に全日本学生選手権大会で個人準優勝したOB(安井博記七段 関西学院大学)がいますから、その再来を望む声は当然あります。でも時代背景があります。ですから、『社会の中枢で活躍してほしい』ということだけが願いです。そのためには剣道部が永久に続く必要がある。そのための『学生ファースト』がOB会の唯一の原則です」(尾上)

中高一貫でいかに、剣道を好きになるか、そして楽しめるようになってほしい

 東海高校剣道部で特徴的なのは「剣道が楽しい」という声があることです。「東海中学・高校剣道部では常時2~3人の体育教師が同じ道場で中学生と高校生を一緒に指導しています。もっとも大切にしているのは『中学・高校6年でいかに学生が剣道を好きになるか』ということです。そして卒業後に『剣道を楽しめる』ようになれば、もう剣道をやめなくなる。勉強も剣道も一生懸命にやる、これが東海剣道部における文武両道の定義です」(北村)
 勝つためだけの剣道になってはいけないのはなぜですか?
「もちろん『試合に勝つ』と生徒も楽しくなって、『先生、もっと剣道がやりたい』と求めてくるという効果はあります。ただし、『試合に勝つことだけ』になると、『剣道が楽しくなくなる』のです。その結果、生涯にわたって剣道を続けてゆくことをしなくなってしまう。あくまで『剣道を通して社会に有意な人材を育てる』のが東海中学・高校剣道部の存在意義ですから」(北村)
「学生時代はついなにかに偏りがちです。わたしたちも『先生、もっと剣道を教えてください』と駆け寄ったことがあります。今でも思い出すのは、加藤万寿一先生が『君たちに剣道で飯を食っていく覚悟があるならとことん鍛えるのもよいが、多分野で活躍してゆくのが東海生の道だろう。だから、君たちは勉強も頑張りなさい』と言ってくださったことです。70年前に、生徒を子ども扱いせずに、一人の個人として扱ってくれた、感謝しています」(尾上)

「後編」は後日公開します。


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