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《特別取材》全日本剣道連盟新会長を訪ねました

《特別取材》全日本剣道連盟新会長を訪ねました

今年から全日本剣道連盟の新しい会長に就任した稲川泰弘氏にインタビューを行いました。

「剣道は、変わります」と明言したインタビューの一部をこちらに掲載します。

稲川泰弘(いながわやすひろ)昭和19年愛媛県松山市生まれ。中学までは器械体操部に所属し、高校に入ってから剣道を始める。東京大学卒業後、通産省に入省。第1回全日本官公庁大会で優勝(団体)。平成11年、経済産業省資源エネルギー庁長官を最後に退官。日本政策投資銀行、IHIを経て平成22年から日本風力開発に入り、現在同社取締役会長。平成27年から全日本剣道連盟の副会長となり、今年6月から会長となる。剣道七段。

──まず、喫緊の課題は剣道人口です。少子化に加え部活動でも加入率が落ちていると聞いています。そのあたりの振興策についてはどのように考えていますか。

稲川 ひとつには社会的ムードというものがあると思います。われわれの世代は東洋文化や武道に哀愁がありなじみも感じますが、現在は社会全体として武道に対して何か温かみを感じるところからは外れていっているのではないでしょうか。武道に哀愁を持つような社会にならない限り、子どもたちが剣道をやろうとは思わないでしょう。

 今はリバイバル剣道がはやっているらしいですが、老齢化してもできるような場所や、女性が増えていますので女性がのびのびと剣道ができる仕組みを充実させたいと思います。

 部活動として剣道をしないのであれば地域の組織をつくってそこで受け入れ、子どもたちを地域で育てることをしていきたい。ヨーロッパのようにクラブで子どもたちを育てるという仕組みについても考えていきたいと思います。そこに高齢者もお母さんも参加していく。子どもたちにいきなり「武道をしなさい」と言うのは難しいでしょうが、かなりの社会人は剣道の心得はあったわけですから、そこに活路はあると思っています。

 まずは、武道を受け入れてみんなでなじんでいるという社会的な雰囲気をつくらなければいけないのではないか。そして、年配者や女性の剣道を評価する全剣連でありたいと思います。その認識を共通化しようというキャンペーンを張っていまして、昇段審査においても、審査員としての共通認識をどこに置くべきか検討中です。それが広く浸透していけばと思います。

 そのためには、枯れた剣道、しなやかな剣道、これを評価できなければ。昇段審査にもこれは如実にあらわれていまして、1・2年前の審査を見ると、どちらかというと「筋肉剣道」にマルをつけてきた。よほどのことでないとしなやかな剣道、枯れた剣道にマルをつけていない。これは生涯剣道を謳う全剣連として本当にいいのか。

 剣道は腕力の殴り合いではなく攻防の技や練度を競うわけです。であれば攻防の技をどう使ったか、そして真正面から切っているか。スピードや腕力でいえば第1会場でやっている人(最若年層)と比べれば若干見劣りするかもしれませんが、そういうところを評価すべきではないでしょうか。

 今は、どちらかというと筋肉に傾いていますが、それでは武道の温かみや懐かしさから遠ざかってしまうように感じます。

──剣道振興策として、武道の授業で剣道の採用率をあげることもひとつかと思います。剣道が採用されにくい要因として防具の問題があろうかと思います。たとえば木刀一本でも授業に取り入れられる授業のやり方などの施策は考えられないでしょうか。

稲川 スポーツ庁のほうで研究して協力せよと言われているようです。そのやり方が有効であればぜひやってもらったらいいと思います。まずは今申し上げたとおり、社会のほうが剣道を要求しているかが大きいでしょう。

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このほか、「メディア振興」「試合規則」「コロナ対策」「剣道具」「居合道問題」「事業の今後」「正しい剣道とは」等、について聞きました。

続きは、剣道日本11月号をぜひご覧ください。

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