資料提供 近藤正伸(茨城県高体連剣道専門部)
1 概要
本大会は、6月13日、14日、24日の3日間にわたって開催された。男子団体決勝は、第1シード水戸葵陵と準決勝で第2シード土浦日大を代表戦の末に破った茗溪学園の対戦。結果は水戸葵陵が次鋒戦から副将戦まで勝利し、6大会連続18度目の優勝を飾った。女子団体の決勝は第1シード守谷と第2シードの水戸葵陵の対戦。結果は先鋒戦と次鋒戦で守谷が勝利し、そのリードを守りきり2-1で勝利、23大会連続の優勝を果たした。男子個人戦は、関東予選で優勝した神賀選手(茗溪学園)と県大会初の決勝へ勝ち進んだ入江選手(水城)の対戦となった。互いに技をつなぐも一本にはならないまま延長戦へ突入し、神賀選手が一瞬下がったところを入江選手が逃さず裏からメンを捉え優勝が決まった。女子個人戦では関東県予選で優勝した村田選手(守谷)と関東本大会で優勝した五十嵐選手(守谷)の同校対決となった。村田選手がコテで先制するも、終了間際に五十嵐選手がツキで追いついた。延長戦の開始直後は膠着状態が続いたが、中盤に五十嵐選手が村田選手のコテを誘い、相ゴテメンを打ち込んで五十嵐選手が優勝した。女子は守谷が圧倒的な強さで予選を制した。男子はチーム力で水戸葵陵、個人では県大会初制覇の入江選手と、昨年国体を経験した神賀選手のインターハイでの活躍が期待される。
2 男子団体戦
決勝は、安定した試合展開で着実に勝ち上がってきた水戸葵陵と、準決勝で土浦日大との接戦を代表戦で勝利して勝ち上がった茗溪学園の対戦となった。先鋒戦、川上選手(水戸葵陵)と永原選手(茗溪学園)の対戦は互いに準決勝での勢いのまま思い切った技を出す。開始直後に鍔迫り合いの反則が川上選手に与えられると、その直後に永原選手が思い切った飛び込みメンで先取する。さらに、立て続けに二本目の初太刀でコテを決め永原選手の二本勝ちとなる。次鋒戦、何としてでも返したい柴田選手(水戸葵陵)とリードを広げたい沢辺選手(茗溪学園)は互いに攻め合いながらも相手の様子を伺う。中盤、柴田選手の攻めにおされ沢辺選手が引き始めたところを逃さず柴田選手の豪快なメンが炸裂し一本を先取する。二本目も初太刀で伸びのある鮮やかなメンを決め二本勝ち、試合をドローへ戻す。中堅戦、梶平選手(水戸葵陵)と古沢選手(茗溪学園)は両者とも先に一本を取りたい場面で果敢に打ち合いが続く。中盤で一瞬古沢選手の手元が上がったところを梶平選手は逃さず小手を放ち一本となる。その後も梶平選手は厳しい攻めを見せ古沢選手に打突を許さず時間となり水戸葵陵がリード。副将戦、なんとか返したい大貫選手(茗溪学園)だが武本選手(水戸葵陵)の攻めをなかなか崩せない。その中で大貫選手が中途半端にコテを打ったのを逃さず武本選手はコテ返しメンを決める。その後も武本選手は攻め続け、あとがない大貫選手が居ついたところをスルスルと打ち間に入りメンを放ち一本。水戸葵陵の6大会連続18回目の優勝が決まった。大将戦、神賀選手(茗溪学園)は意地を見せたいところだが、対する酒井選手(水戸葵陵)も果敢に攻める。両者厳しい攻めに有効打突は生まれずそのまま引き分けとなった。
3 女子団体戦
決勝は、第1シードの守谷と第2シードの水戸葵陵が安定的な勝ち上がりで決勝へ進み関東予選と同じ顔合わせとなった。先鋒戦、今村選手(守谷)と小松﨑選手(水戸葵陵)は両者とも積極的に攻めて技を出す。序盤に今村選手の攻めに小松﨑選手がメンを引き出され、逃さず今村選手がコテを決める。その後もなんとか返したい小松﨑選手は果敢に技を出すが有効打突には至らない。今村選手も鍔ぜり合いからの惜しい引きメンがあったが、バランスを崩し旗は一本しか上がらず時間切れとなる。次鋒戦、髙村選手(水戸葵陵)が先に仕掛けて攻め込む。開始間もなくメンに出ると高橋選手(守谷)が逃さずコテを放ち一本となる。二本目は髙村選手が前に出て技を繰り出すが、高橋選手に攻め込まれメンに出たところを返されドウを奪われた。中堅戦、身長差がある両者だが互いに譲ることなく激しく打ち合う。小柄な飛知和選手(水戸葵陵)は五十嵐選手(守谷)の鋭い攻めや崩しにも耐え攻め返し前に出ていくも互いに有効打突とはならず引き分け。副将戦、両者攻め合いながらも慎重な試合展開が続く。試合を決定づけたい中村選手(守谷)が引きメンを放つも決まらず、安藤選手(水戸葵陵)がうけに回らない見事なメンを決める。試合中盤で合議がかかるも反則はなし、取り返したい中村選手だが有効打突は生まれずそのまま時間となった。大将戦、リードする村田選手(守谷)は守りに入ることなく攻め続ける。菊地選手(水戸葵陵)も思い切った攻めからメンを放つも惜しいところで一本にはならない。またも合議がかかるが反則はなし、その後も両者攻め合い時間切れとなり引き分け。リードを守り切った守谷が23大会連続の優勝を果たした。
4 男子個人戦
関東予選で優勝した神賀選手(茗溪学園)と県大会初の決勝へ勝ち進んだ入江選手(水城)の対戦となった。序盤から両者激しい打ち合いとなる。入江選手が先に攻め込んでいくが、神賀選手も落ち着いて攻め返す。入江選手は多彩な攻めと技で会場を沸かせるが一本にはならず延長戦に突入した。延長戦に入っても入江選手がメンを中心に攻め込んでいくが場外に出てしまい反則1回となる。その後、神賀選手は表から押さえたが入江選手が攻め返した。神賀選手が下がったところを逃さず裏にメンを打って一本となり、入江選手の優勝が決まった。
5 女子個人戦評
女子個人戦は、関東大会県予選で優勝した村田選手と関東本大会で優勝した五十嵐選手の守谷同士となった。序盤は両者静かな立ち上がりとなった。中盤に村田選手が先に仕掛け五十嵐選手のメンを誘ってコテを放ち一本となる。その後、攻め合いが続いたが、村田選手の一瞬の隙を逃さず五十嵐選手がツキを放ち一本となる。その後すぐに時間となり延長戦へ突入する。しばらく膠着状態が続いたが、五十嵐選手の強い攻めに村田選手がコテを打ちにいった所を五十嵐選手がすかさず上から相ゴテメンを打ち込み一本となり五十嵐選手の優勝が決まった。
剣道日本2023年9月号(7月25日)に、全都道府県の上位の結果及び全国大会出場校+個人戦上位入賞選手の写真を掲載しています。