文・髙坂秀和(大阪高体連剣道専門部総務部)
男子個人戦は準決勝で関西大倉の田中選手をメンで下した四天王寺東の石塚選手と、同じ四天王寺東の今井選手をこちらもメンで下した太成学院大学高校の重廣選手の対戦となった。両者は1月の新人戦でも対戦しており、その際には延長の末に石塚選手が勝利し、そのまま優勝することとなった。再戦に闘志を燃やした重廣選手ではなかったか。決勝まで、メン、コテ、ドウと多様な技で一本をとったその勢いのままに石塚選手へと攻めかかり、メンで一本をとった。一方、石塚選手はこの日、メンが冴えていた。重廣選手に先手を許すも、メンで一本を取り返す。両者譲らぬ戦いであったが、最後には石塚選手がメンで一本を取り、新人戦に続き、優勝を手にした。四天王寺東としては、初の個人戦制覇となった。
女子個人戦は新人戦優勝の清明学院の杉本選手が準々決勝、準決勝ともに延長戦までもつれこみながら決勝に駒を進めた。対して、四天王寺東の松村選手は、新人戦準優勝の金光大阪・溝端選手をドウで、同三位の東海大大阪仰星の道久田選手を延長の末、コテで下して決勝に駒を進めた。両者の実力は拮抗し、延長戦に突入。この日都合4回、決勝までで三連続の延長戦が影響したか、杉本選手に生じたわずかなスキを逃さず、松村選手がメンを取り、優勝を果たした。これによって、四天王寺東は平成29年の履正社以来、7年ぶりの男女個人戦制覇となった。
男子団体戦。決勝は四天王寺東対清明学院の戦い。1月の新人戦で優勝を争ったカードでの決勝戦となった。先鋒戦は四天王寺東の橋本選手がコテを取ると、清明学院の林田選手もコテを取り返すという一歩も譲らない戦いで引き分けた。次鋒戦では四天王寺東の河野選手が勢いのある飛び込みメンで一本を取り、そのまま一本勝ち。さらに中堅戦では四天王寺東の金丸選手が冷静な試合運びで相手の焦りを誘ったか、清明学院の反則で1本をとった。続く副将戦では昨年度の個人戦準優勝だった今井選手が、追いかける清明学院の尾之上選手を、こちらも冷静に制して引き分け、ここで四天王寺東の勝利が決まった。一方、清明学院も大将の松下選手が個人戦優勝の四天王寺東・石塚選手からメンで一本を取り、意地を見せた。四天王寺東は実に10年ぶり、2度目の優勝であった。
女子団体戦。こちらも男子と同じく四天王寺東と清明学院の対戦となった。先鋒戦では四天王寺東の戸田選手が上段からの果敢な攻めを見せるが、対する清明学院の谷口選手は冷静に対応。相手のミスを誘い、反則による一本勝ちで勝負を制した。続く次鋒戦では清明学院の1年生・十河選手が積極的に攻め、コテからつないだメンで一本を取ると、そのまま攻め手を緩めず鋭いコテで二本勝ち。後がなくなった四天王寺東は中堅の前田選手が粘りを見せて引き分けに持ち込み、副将の濱中選手につなぐ。濱中選手は自分から攻め、相手を崩し、下がり際を2本、3本と追い込んでメンをとると、その勢いのままにもう1本メンをとり、二本勝ち。追い上げムードの中での大将戦では、四天王寺東の松村選手が激しく攻めたてた。清明学院の杉本選手は冷静に対応しながらも、機を見てメンやツキを放つ。両者譲らぬ戦いとなったが、4分間を知らせる旗が上がり、清明学院の優勝が決まった。四天王寺東の4連覇を阻止した清明学院は、悲願の初優勝を果たした。
インターハイ予選団体優勝校と個人戦上位入賞選手を一覧で9月号に掲載。