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強さと楽しさをつなぐ 中大剣道部部長 中大赴任までの歩み(後編)

強さと楽しさをつなぐ 中大剣道部部長 中大赴任までの歩み(後編)

潮清孝
六段 中央⼤学商学部准教授

取材・文・撮影 編集部

(うしおすみたか)昭和54年8月大阪府生まれ。同志社国際高校から京都大学に進学。ソニー株式会社や中京大学の勤務等を経て、2015年から中央大学商学部准教授となり、現在は同剣道部部長も務める。剣道六段。博士(経済学)。

懐の深い恩師が教えてくれた「⼈の縁の⼤切さ」

(前回のつづき)
──でも恩師に誘われて博⼠課程5年コースにいたらやめられないでしょ?

 そう。恩師になかなか⾔い出せなくて、ついにこれ以上は引っ張れないというタイミングで「就職します」と⾔いました。カンカンに怒られるかなと思ったら、意外や意外。「潮くんはいつか戻ってくるのだろう。ソニーは素晴らしい会社だから⾏ってきなさい。でも残りの3年は⼤学院に籍だけは残しなさい。授業料が払えないなら貸してやってもいい」とまで⾔われてしまい、⼤学院に籍だけ残してソニーに⼊社しました。まだまだ主張するのは苦⼿だったようです(笑)。勤務地は東京です。会計学を専攻してきたので、希望して経理部に配属されました。

──いい先⽣ですね、⼈との縁ですね。

 そう思います。恩師が京セラ・アメーバ経営研究の権威だったこともあり、のちに先⽣の共同研究者として学者になれたことを含め、感謝しかないですね。

会社員⽣活を経て気づいた「⾃分の道」

──ソニー⼊社が2005年ですが、会社員⽣活はいかがでしたか?

 ⼊社1年⽬に⼤学院時代の同級⽣と結婚。妻も東京で就職した直後だったので、すぐに⼀緒に暮らすようになりました。会社では剣道部に所属。ソニーはかなり⾃由度が⾼い会社です。実際に服装も含めてかなり緩やかで、実業団剣道で初めて勝負という体験もできた。

──でもなにか引っかかるものがあった?

 いくら⾃由といっても組織ですから「それ必要なの?」という業務もやらなければいけない。お互い無駄な業務だとわかっているけど、これまでどおりやっていれば⽂句は⾔われないから、その通りやるのが早く帰れて、⾃分たち的には⼀番効率がいい。すると「主張しない」「理解できない」「おもしろくない」の負のループです。我慢が⾜りなかっただけかもしれませんが……。でも剣道だけはおもしろい。だから、稽古はソニー剣道部や道場で継続して五段を在職中に頂戴しました。

──何がきっかけで研究者の世界に戻ったのでしょうか?

 ⼤学院に籍があるから、毎年通いもしないのに授業料を振り込むわけです。最初は無駄⾦と思ったりもしましたが、恩師が⼤学院のゼミ合宿などに、定期的に誘ってくださいました。会社での経験を経て、⾃分で考え抜いた理論を、⾃分の責任で論⽂にして世に出すことの楽しさに少しずつ気づき始めました。また、社内でチューター制度というのがあり、2年⽬のときに、1年下の新⼈君に付きっきりで仕事を教えていくなかで、教育の楽しさを知ることもできました。そんなある⽇、共働きしている妻が「今の仕事が嫌なら辞めてもいいし、わたしが⽣活を⽀えるから、本当に⾃分がおもしろいと思うことを⾒つけたら?」というのです。

 ちょうど妻に転勤の話があるのを利⽤して、2007年7⽉、ソニーを退職して関⻄に転居しました。最終的には1年留年したので、そこから2年近くの間、また学⽣⽣活です。

はじめて⾃分で⼿を挙げ、学界で捨て⾝の跳び込み⾯

──今度は⾃分が本当におもしろいと思うものはみつかったのですか?

 恩師がちょうど京都⼤学を定年で退官された直後のタイミングで、アメーバ経営の共同研究者を探していたのです。そのときばかりは、⾃分で⼿を挙げて⾷らいつきました。先⽣と⼀緒に海外の学会にも何度も⾏きました。

──まさに“ここぞの機会”に跳び込み⾯ですね。

 そうしたら運が良いことに、名古屋の中京⼤学が若⼿研究者を探していて、2009年4⽉、そこに専任講師として⾶び込むことができた。当初は⻄宮市(兵庫県)から名古屋まで⻑距離通勤していましたし、⻑男も⽣まれたばかりだったので、もう剣道どころではありません。会社を辞めてからは剣道を封印して、育児と研究に没頭していました。後⽇、そのときの研究成果が認められて、⽇本原価計算研究学会賞をいただくことができました。

──まさに捨て⾝の跳び込み⾯がさく裂したわけですね。

 そうですね。ただ、剣道は完全に封印です。「⾃分が本当におもしろいと思えること」で⽣活していけるように、「研究で跳び込み⾯を打つ」ことに必死だった感じです。
(終わり)

1年生の講義より

「おもしろいと⾃分が思わなければ100%⼒を発揮できない」を信念とする潮さんはその後名古屋で4年半ぶりに竹刀を握り、六段に合格。さらに2015年に中央大学准教授となり、昨年(2019年)からは同剣道部の部長に就任しましたが、その裏にはさまざまな「出会い」がありました。中大剣道部に感じる強さの源、また、現在取り組んでいる新たな試みなどについては、『剣道日本』最新号(5月号)に記載しました。


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